
皆さんこんにちは!
筑波大学院の修士(農学)を修了し、現在では民間企業の研究職に所属しているふくろう博士(@college_blog01)と申します。
大学院生が味わうストレスの2大要因の一つである”就活問題”。
努力して大学院まで進学したからには、『少しでも待遇の良い会社に就職したい』と考える人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回の記事ではそんな農学系大学院生が就職活動の際有利になりやすい業界について紹介したいと思います。
- できるだけ専門性を活かした就職活動を行いたい
- 農学系を専攻した学生のリアルな就活事情を知りたい
という方は必見!
また、私自身や大学の同期の就活経験から業界の採用難易度や内定のために必要な行動についても解説するため、これから就職活動を行う理系大学院生の方は是非参考にしてください!

自分が『理系大学院生だから』という理由で慢心していると就活に失敗するかも?
就活終了後に後悔しないためにも今できることを一生懸命頑張ろう!
農学系大学院生が有利な業界
一口に”農学”と言っても、実際の学問領域は多岐に渡ります。
農学系の場合、同じ大学の研究科でも生態学を専門にする人もいれば、 土壌物理学や農業経済学、分子生物学など扱う分野は十人十色。
この『学問領域の多様性』こそが農学系最大の特徴と言えるでしょう。
実際に、筑波大学院の修士(農学)の進学先を見ると
- 食品業界
- 製薬・化粧品業界
- 種苗業界
- ゼネコン
- 公務員
- 総合商社
と多岐にわたっていることがわかります。
結論から言うと、上記の業界は就活時に農学系の学生を優遇してくれる傾向にあります!
それでは、これらの業界が農学系に有利とされる理由について見ていきましょう。

どんなタイプの学生がどの業界に就職しているかについても言及するので、『自分みたいなタイプの先輩はどの業界に就職しているのか』を注目すると将来のためになるかも?
食品業界
農学系で最も人気が高い”食品業界”
育種学や畜産学、食品工学といった『食』に関わりの強い分野から、 研究内容が『食』と直接の関わりがない分野の学生まで広く人気があります。
人気の理由は何と言っても、「専攻の知識や経験を生かすことができ、なおかつ研究開発の採用枠があるため」でしょう。
民間企業で研究職を志望する農学系学生の受け皿として貴重な業界でもあります。
味の素やキッコーマン、カゴメと言った有名企業の研究職ともなると採用倍率は数百倍にまで激化することも・・・
一流食品メーカーの研究職を志望する場合、学歴や研究実績だけでなく優れた人間性や研究室のコネなどといった+αが必須と言えます。
私の同期では、トマトを研究材料にしている育種研の教授のコネを活用してカゴメに入社していました。
毎年その研究室で最も優秀な修士学生に就職を斡旋しているとのウワサも...
しかし、当然ですが教授からのコネを得るためには日々の生活態度や納得できる研究成果が必須!
結局、就職活動と並行して研究も人一倍努力することが大事ということです。
製薬・化粧品業界
食品業界と並んで人気な”製薬・化粧品業界”
全業界と比較しても高い平均年収や業界そのものの参入障壁の高さが大きな特徴です。
過度な値下げ競争が起きにくく、景気に左右されにくい産業構造によりホワイト企業が多い傾向にあります。
また、より良い薬を開発することが将来の利益につながるため、研究職の採用に積極的なのも魅力の一つと言えるでしょう。
一方で、大手製薬メーカーの倍率は食品業界と同様に超高倍率 ・・・
さらに、採用を奪い合うライバルは薬学部や理学部出身の修士学生、または博士号取得済の学生といった超高学歴人材と競い合う必要があります。
「周りと比較して少しだけ優秀」程度の学生ではまず歯が立たないと言っていいでしょう。
私の同期では研究職としての採用を諦め営業職やMRとして就職した人や、研究職に全落ちしたため食品業界の研究職に不本意ながら就職した人がいました。
やはり、研究職を志望する場合は生半可なレベルでは相手にされない業界です。
どうしても製薬業界の研究室に入社したい場合は、より就活時に有利とされる薬学系の大学院へ進学することをオススメします。
種苗業界

育種学や植物学、一部の生物工学と言った実験対象に植物を扱う学生に人気な”種苗業界”
研究室で学んだ内容を直接的に生かせるのが人気の理由でしょう。
日系の大手種苗メーカーである”サカタのタネ”ではブロッコリーの世界シェア65%、トルコギキョウの世界シェア70%と世界規模で事業を独占しているのが特徴!
日本のみならず世界各国とも取引をしているため、少子高齢化が予測される日本でも安定した収益が期待できるのも人気の一つでしょう。
ただし、収益率の高さに対して従業員の給料は若干低めの傾向にあります。しかし、「仕事として作物に関する研究を行いたい」という人にとってこれ以上ない天職と言えます。
私の育種学を専攻していた同期やサークルの先輩が種苗メーカーに就職していました。
他の業界と比較すると、『研究室の縦のつながり』を重視した研究室やOB, OG経由での採用が多いとのこと。
そのため、種苗メーカーに就職したい人は研究室選びに注力することが重要です。

サカタのタネについて企業研究をした記事もあるので、興味がある方は一度読んでみて!
ゼネコン・建設業界
上記の業界と比較して数は多くありませんが、毎年一定数が”ゼネコン・建設業界”に就職します。
この業界の特徴は何といっても平均年収の高さ!その気になれば新卒2~3年目で600~800万円もの大金を稼ぐことができます。
とはいっても、この高年収の大半は残業代によって得られるもの。プライベートを犠牲にしても1円でも稼ぎたいという強い意志が大切な業界です。
私の同期では農業土木や土質工学、砂防学といった農学部の中でも土壌に関する学生が多く就職していました。
彼らに共通する点として、やはり『とにかくたくさん稼ぎたい』という意志が強かったです。
業界自体が人手不足気味のため、やる気とある程度の学歴さえあれば研究内容はあまり重要視されないとのこと。
しかし、この業界は本当に残業多いみたいです。あるゼネコンに就職した先輩によると、入社2年目で残業は最大100時間するとのこと!
その代わり残業代は満額出るため、とにかくお金が欲しい農学系大学院生は 挑戦してみてはいかがでしょうか?
公務員全般
農学系大学院生の就職先の定番と言える”公務員”
就職先も地元の地方自治体から都道府県庁職員、国家公務員と幅広い選択肢があるのが特徴です。
また、国家公務員ひとつとっても
- 農林水産省
- 国土交通省
- 林野庁
- 環境省
と多岐にわたります。
そんな公務員の特徴は安定した身分と自分のやりたいことができることでしょう。
特に、民間企業ではできないような環境保全や生態系保護、絶滅危惧種の調査・保護活動といった仕事を魅力的に思う人は多いはず!
また、上記の業界と比較して(国家総合職以外)比較的採用倍率が低い点も見逃せません。
採用倍率は2~10倍程度であるため、倍率数十~数百倍となる大企業の研究職とは文字通り桁違いに就職しやすいと言えるでしょう。
私の同期では、”真面目でコツコツタイプ”の学生が公務員の技術職に就職していました。
全体的に『給料よりもやりがいや安定感』もう重視する人が多く、公務員試験一本に絞っている人が多数派といった感じ。
また、森林学や育種学を専門にしている学生は有望な民間企業がほとんどないことから消去法的に公務員を選択しているという印象が強いですね。
実際に就職した人の話を聞くと、『思っていたよりは残業が多く仕事が大変』とのこと。
まとめると、就職先に安定感を求めたい人や、自分の専攻内容を就職後にも携わりたい人にはオススメと言えます。

公務員を就職先の視野に入れている方はこちらの記事もチェック!
県庁レベルで倍率が2倍程度と競争が少ないため、確実に公務員になりたい人は是非見てね。
まとめ
今回の記事では農学系大学院生に有利な業界と具体的な就活対策について実体験を基に解説しました。
農学系の場合、学問分野が広いため様々な業界に就職しやすい状態にあります。
その中で、農学系の大学を優遇して採用する業界は
- 食品業界
- 製薬・化粧品業界
- 種苗業界
- ゼネコン・建設業界
- 公務員
が該当します。
とはいってもこれらの業界は採用倍率が高く、大手企業への内定を目指す場合は就職活動が始まる前から準備を進めることが大切となります。
そのため、早期のOB,OG訪問やインターンシップ、学会発表への積極的な参加が超重要!
また、就職する業界に関して強いこだわりがない場合、逆求人サイトから送られてきたオファーを基に業界や企業を選んでみるのもいいかもしれません。
研究室での活動が忙しいと思われますが、少しでも良い就職先を得るために少しの努力を惜しまないで下さい。
直前になって焦らないよう、早いうちからの準備を心がけましょう。
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