
皆さんこんにちは。ふくろう先生と申します。
Twitter:(@college_blog01)
今回の記事では、『修士課程を中退して公務員になる選択肢』について解説します。
現在理系学部の修士課程に在籍している学生で、
- 研究室に行きたくない
- 研究のことを考えるとうつ状態になる
- 指導教員と馬が合わずしんどい
と感じている人は多いでしょう。実際、この記事を執筆している私自身も在学中は常に苦しんでいた思い出があります。
私の場合、幸いにもラボメンバーに恵まれたおかげで修士号を取得できましたが、誰もが無事に卒業できないのが修士の怖い所。
ストレスからうつ病になり、人知れず消息を絶つ人はどの研究室でも必ず一人はいるものです。
『せっかく大学院に進学したのだから、多少無理をしてでも学位を取得するまで耐える』
という判断をする人もいますが、無理のしすぎで心身を壊してしまっては元も子もありません。
貴重な20代を無駄にするだけでなく、その後の人生にも精神に暗い影を残すといった悲しい結果になる可能性もあります。
とはいっても、大学院を中退して無事に職にありつけるかという不安もあるでしょう。
そこで提案したいルートの一つが『大学院中退→公務員』というもの。
次の章で、『大学院中退→公務員』という進路のメリットやデメリットについて解説していきます。
中退→公務員試験のメリット
修士課程を中退し、公務員を受験するメリットは次の通り。
- 自分の強みを生かせる
- 難易度は比較的低め
それぞれの理由について解説していきます。
自分の強みを生かせる
基本的に、大学院の中退を視野に入れた学生の精神状態はあまりよろしくありません。
研究をやらなければならないという焦燥感と、論文作成や実験等を進めようとしても進まない無力感に苛まれていることでしょう。
このような精神状態に陥る根本的な原因は『自分が今、具体的に何をすればいいのかよく分からない』というところ。
修士課程における研究活動は、学部時代と比較して自由度が高い故に”自分主体となって考える”必要があります。
主体的に研究活動を進められる人にとっては楽しいことだと思いますが、他人の指示に従うのが得意な”指示待ち人間”にはつらい作業です。
”指示待ち人間”というネガティブなワードを使いましたが、勉強に対して受け身の姿勢になるのはある意味仕方のないこと。
高校受験や大学受験、大学生活における単位の取得といった今までの人生における勉強とはすべて『正解があり、誰かから教えてもらうもの』でした。
それが急に『正解があるかも分からない問題を、自分自身で解決する』という研究を苦痛に思うのは普通の反応と言えます。
確かに”指示待ち人間体質”は将来的に改善するべき課題ではありますが、精神的に不安定な状態で改善を目指すのは賢い選択肢とは言えません。
逆に、”勉強に対して受け身の姿勢で努力することが得意”という長所を生かし公務員試験を受けることをオススメしているという訳です。
公務員試験の勉強は、あなたが過去に行った”お勉強”で得られた知識や経験を最大限に発揮することが出来ます。
また、公務員試験の勉強は
- いつまでに
- どの程度のペースで
- 何点を目安に
- どの分野を集中して勉強すべきか
が非常に明確です。
言い換えると、『自分がいつまでに何を行うべきか』がハッキリ認識でき、目標に対して正しいアプローチが可能ということ。
自分が今何をするべきかが明確になれば、精神的に落ち着いた状態で物事に取り組むことが出来るでしょう。
難易度が比較的低め
公務員試験についてネットの情報を調べると、よく出てくるのは『公務員試験は難しい』というもの。
確かに、国家公務員試験の総合職を希望する場合は本格的な勉強が必要とされますが、国家公務員一般職や県庁の技術職の場合はそうでもありません。
実際に、各都道府県庁の農業土木職の倍率は以下の通り。
県庁 | 北海道 | 福島 | 茨城 | 千葉 | 山梨 | 岐阜 | 静岡 | 愛知 | 大阪 | 岡山 | 山口 | 香川 | 福岡 | 長崎 | 宮崎 | 鹿児島 | 沖縄 |
倍率 | 2.0 | 1.3 | 4.0 | 1.3 | 2.3 | 1.6 | 1.8 | 2.3 | 3.3 | 1.8 | 1.0 | 1.0 | 2.5 | 2.0 | 1.5 | 1.2 | 15 |
大阪でも3倍、山口県や香川県では倍率1.0倍といった低倍率であることが分かりますね。
このように、技術職は受験者の母数が少ないため競争倍率は低い傾向にあります。
もし仮に『公務員試験は難しい』といった理由で候補から断念している場合、あきらめずに勉強してみましょう。
どんな大学に在籍しているのであれ、修士課程に進学している時点で平均以上の学力と向上心があることは間違いなく事実であると断言できます。
特に生物系、農学系の学部出身の方にとって、利益を追求することが目的の民間企業では出来ない仕事が多くあります。
自分が仕事として携わってみたいことを見つけて、公務員試験に挑戦してみてはいかがでしょうか?
中退→公務員試験のデメリット
中退して公務員試験を受けるメリットについて解説しましたが、もちろんデメリットもあります。
- 修士の学位が取得できない
- 一部大手企業への就職が困難に
解説していきます。
修士の学位が取得できない
修士課程を中退するにあたり、一番の問題になるのが『学位を取得できない』という問題。
せっかく高い金と貴重な時間を費やして進学したのだから、何としてでも学位を取得したいというのが本心でしょう。
経歴に多少の傷がつく上、親や友人といった周囲の人間は中退という選択肢に対して否定的な意見をぶつけることも躊躇する原因の一つです。
しかし、これは学生に特有に見られる”視野の狭さ”に起因するもの。
皆さんが思っている以上に世間は『学歴』や『学位』に対して無頓着であり、『仕事が出来るか否か』を重要視するものです。
皆さんが必死になって取得しようとしている『○○学(修士)』なんて、ほとんどの日系企業においてはぶっちゃけただの飾りに過ぎません。
誇張した表現と思われるかもしれませんが、日系企業であればどの会社でも行われる日常的な行為です。
特に大企業では、上位者として活躍するにはゼネラリストになるべきという根強い考えがあるため、さまざまな職種を経験させます。日本経済新聞の「私の履歴書」を見てもわかるように、大企業のトップのほとんどは、都市部の営業で配属されたと思ったら、製造現場、地方の営業、人事など多種多様な職種を経験しています。
つまり最初に配属される職種は、あくまでも「最初の職種」でしかありません。次々にいろいろな職種を経験し、企業内でのゼネラリストになるためのキャリアパスが用意されています。大企業だと8年間(22歳で新卒入社して30歳になるまで)のキャリアパスが複数種類も用意されていることが一般的でしょう。ある大手食品メーカーでは、30歳までに最低2つの事業部での業務経験を積めるよう、キャリアパスを設計しています。
引用:東洋経済オンライン
当然研究職や開発職といった理系専門職も同様であり、面接時に告げた希望部署に配属されるかは運次第。
いわゆる”部署ガチャ”と言われるものです。
話が少しそれてしまいましたが、結論をまとめると
企業は理系学生が思っている以上に修士号や博士号といった専門性を重要視しない
という客観的事実は頭に入れておくと良いでしょう。
心身に負担をかけてまで修士号を取得しようとするのであれば、まだ既卒(大卒)として就職活動を行ったり、公務員試験に向けた対策を行う方が建設的だと思います。
一部大手企業への就職が困難に
修士課程を中退するデメリットとして、『既卒生としての就活が困難』という点も挙げられるでしょう。
皆さんもご存知の通り、日本社会では”新卒一括採用”を前提とした横並びの就職活動を行う文化があります。
これは言い換えると、一度新卒採用というレールから外れると一流企業への就活が困難になることを示しているのです。
この話題だけ聞くと、中退というレールを外れる行為が恐ろしく感じるのも無理はありません。
しかし、公務員試験の場合はそうでもありません。
自治体によって多少異なりますが、『○○歳以下』といった年齢制限さえクリアできれば受験者同士は公平な基準の下審査されます。
確かに、一部大手企業への新卒採用の道は狭まりますが、だからといって中退をためらうことはよくありません。
自分の精神や体調と向き合い、『これ以上は本当に限界』と心が叫んでいるようなら今すぐ中退することも悪い手ではありません。
今一度、自分自身の心と向き合い、これからどうありたいのかを再認識してみるのが良いでしょう。
”民間企業に就職”や”転職”という手もある
今回の記事では公務員試験への受験をオススメしましたが、『公務員になるのはちょっと..』という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった場合、
- 民間企業に就職
- 公務員対策と並行して就活
- 一度公務員になり、その後転職
といった戦略をとることも可能です。
社会人になってまだ一年目の私ですが、実際に仕事を体験してみた感想として”学生時代の視野の狭さ”を痛感しました。
そして、『こんなにどうしようもない人間でも社会人として生きていけるんだ』という人を何人も目撃しています。
断言しましょう。
大学院の修士課程に進学できる時点で、あなたは同世代の中でトップクラスに優秀です!
周りにいる人々が大学教授といった化け物だらけで実感しにくいだけで、世の中にはまともにOfficeソフトすら使えないアホは山ほどいます。
自分を責めるような真似はせず、じっくりと正しいと思う道を歩めば十分です。
最後に:これだけは伝えたいこと
長くなりましたが、大学院がツライ、中退したいと感じている人に少しでも役に立てる情報を発信できたと思います。
しかし、精神的に追い込まれている状態では正しい選択肢を選ぶのは困難。
そこで、私が大学院時代に精神が落ち込んだとき、なんとか人並み程度まで回復させるノウハウを書き残しておきます。
最適な方法は人によって違うと思いますが、気が向いたらやってみて下さい。
(やらなきゃ…と使命感を感じると逆効果なので、あくまでも気が向いたらでOK)
①ドライフルーツで栄養補給
食生活は人々の健康と密接に関わっています。一人暮らしの場合、圧倒的に不足しがちなのが果物類。
素手で掴んでも手が汚れず、様々な種類の果物を摂取できるドライフルーツがオススメ。
疲労回復に必要なビタミンB群、タンパク質、炭水化物、ビタミンCがバランスよく配合されており、精神的な疲労回復に効果アリ。
ドライフルーツなので、生の果実と違い保存が利く点もGOODです。
私の場合、Amazonで1kgを2袋買い、ベットの横に保存していました。
気持ちが落ち込んだときにベットでかじりながら、お気に入りのYoutube動画を見ると良いでしょう。
2袋以上購入で送料が無料になるため、複数個の購入をオススメしています。
費用対効果の面でコスパ最強なので、とりあえずポチってみましょう。
②平日昼間に散歩する
人間は日の光を浴びることで気分をリセットしたり、ビタミンDを生成することが明らかになっています。
あと、単純に適度な運動は体に良いので、近くの公園や公民館などを目標に散歩してみるのが良いでしょう。
平日の昼間にゆったりとした時間を過ごすと、今まで気にも留めなかった事柄や世話好きのおばちゃんとの会話といった些細な出来事に気づくことでしょう。
一度ストレス源である大学を離れて、反対方向の電車やバスに乗ってみれれば、新たな出会いがあるかもしれません。
上記の行動を行えば、なんとなく頭の中にある晴れない靄が消えてゆくのを実感すると思います。
他にも、お気に入りの芸人のコントを見たり、友達と出かけたり自分に合ったストレス解消法を試してみましょう。
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