
◆大学院に進学したいけど、万が一留年した場合どうなるの?
◆大学院生が留年してしまう原因って何だろう?

今回の記事では大学院(修士課程)進学に関するこれらの疑問について解説していくよ。
こんにちは!ふくろう博士(college_blog01)と申します。
理系大学生が高い専門性を得るために進学する修士課程ですが、実際に進学するか否か迷う学生も多いはず!
自分自身で修士課程に進学するメリットとデメリットをしっかりと理解していないと、周りに流されてなんとなく進学するといった主体性のない判断をしてしまいがちです。
しかし、世間一般では大学院に進学するメリットについて多くの記事が書かれていますが、進学した場合のリスクについてまとめられた記事は多くありません。
大学院に進学した際のリスクとしては留年が挙げられます。
そこで、今回の記事では大学院生が留年してしまう理由や割合について解説していこうと思います。
学部時代にはキッチリと課題を提出していた真面目な優等生タイプほど留年しやすい原因についても解説するので、
「自分は留年や退学とは縁がないから大丈夫」
と慢心せず、将来の自分のことだと思って読んでくださいね!
留年する理由
大学院生が留年してしまう理由としては
- 経済的な理由
- 海外留学
- 研究室でのトラブル
これらの理由が考えられます。
それぞれの理由について解説していきますね!
経済的な理由
経済的な理由でやむを得ず留年する学生は毎年一定数存在します。
学費が払えないため、大学を一時的に休学しその時間をアルバイトやビジネスを通じて稼ぐといった感じですね。
近年のコロナウイルスに関するニュースで、
『大学生の5人に1人がコロナウイルス拡大の影響により退学を検討』
とあるように、現代において大学生と貧困は切っても切り離せない身近な関係にあるのです!
一昔前のバブル世代とは異なり、大学生の平均仕送り額が減少傾向にあることからも分かります。
海外留学
外国語学部や国際学部に留年生が多い理由として海外留学が挙げられます。
海外留学を行う場合、留学先で取得した単位を自大学の該当単位と交換する必要があります。
しかし、多くの場合他大学で取得した単位を日本の大学で単位認定することは難しいです。
また、日本では新卒一括採用が行われるため、就活が活発に行われる3~6月に海外にいた場合就職活動に参加することが出来ません。
その結果、半年以上の海外留学を行うと自動的に1年留年してしまいます。

経済的に困窮しておりアルバイトに励む学生がいる一方で、多額の資金と時間を利用して海外留学に励む学生がいるのが大学という組織です。
研究室でのトラブル
理系大学院生が留年する理由の大部分は研究室関連のトラブルによるもの。
トラブルの内容は人それぞれですが、
- 指導教員と馬が合わない
- 学んでいる内容に興味が持てない
- 実験が上手くいかない
- 就職活動を自由に行わせてくれない
- 研究室の雑用を無給で押し付けられる
- 研究室が留学生だらけで日本人がいない
- 研究を指導してくれる先輩や教員がいない
- 研究内容が直接的に就職と結びつかない
- 研究室内の人間関係が上手くいかない
これらの要因の中には学生自身に問題がある場合もありますが、研究室の文化や指導教員に問題がある場合も案外多いです。

私の修士2年間は苦しい思い出がいっぱいあるなぁ。
よく卒業することが出来たと今でも不思議に思うよ。
学生に問題がある場合
学生自身に問題がある例としては、『実験が上手くいかない』という悩みを自分で抱え込んでしまうこと。
今までの勉強とは違い、研究とは今までに発見されていない現象や法則を解明することです。
大学院に進学する学生のほとんどはすでに答えがある問題を解く力(勉強力)は身についていますが、まだ答えのない問題を解決する力(研究力)があるとは限りません。
毎年のように研究力に乏しい”真面目な”学生がこの現実と直面し、
「研究が思うように進まない」
と思い悩んだ結果研究室に来なくなってしまうという状態に陥ってしまいます。
一度研究室に行かなくなってしまうと、今度は研究室に行く勇気がどんどんなくなってしまう・・・
「明日こそは研究室に行こう」
「来週こそは研究室に行かなければならない」
「来月から心機一転して研究に取り組むぞ」
と予定を立てても、いざ当日になると怖気づいてしまう。
結果として自力では研究室に行けなくなり、留年→退学のコースに陥ってしまいます。
研究室や指導教員に問題がある場合
大学院生の忙しさは研究室の環境によって変化します。
似たような分野を研究している研究室でも、教授の方針一つで天国と地獄になることも・・・
また、一日の大半の時間を同じ研究室メンバーと過ごすため、彼らとの人間関係も無視できない要素です。
先輩や同期が優秀すぎる場合や日本語を話せない留学生しかいない場合など、劣等感や疎外感から研究室に行きたくなくなります。
研究室という空間には悪意をもって他人を攻撃するような人はほとんどいませんが、研究室メンバーと深く関わろうという人も少ないです。
半年くらい研究室に来ない学生が出たとしても、
「あいつは行方不明になったらしい」
程度の認識しかされません。
修士ともなると20代前半の大人として扱われるので、自己責任という理由で研究室に来ない学生は悪意なく”いなくなった奴”扱いされてしまいます。
大学院生が留年する割合
日本全国の大学院生の留年率をまとめたデータはありませんでしたが、大阪大学が発表している標準修業年限内卒業・修了者、留年者、退学率のデータを参考に解析していきたいと思います。
大阪大学は卒業に厳しい大学で有名なため、標準的な大学院ではもう少し留年率は低いと考えられます。
研究科別の留年率

留年率の上位を占める研究科のほとんどが文系であり、理学や工学といった理系は5%という結果となりました。
個人的には理系研究科の方が留年率が高いと思っていたため、意外な結果に驚きました。
文系(特に国際系)研究科の留年率が高い理由としては、
- 海外留学による不本意な留年
- 修士の母数が少ないため相対的に高く出る
が要因として考えられます。
大半の文系修士が日本で就職することを踏まえると、海外留学中に新卒一括採用を行う企業にエントリー出来ないという構造的な問題が留年率を高めているのでしょう。
研究科別の退学率

留年率のデータとは対照的に、退学率では情報科学や基礎工学といった理系分野の割合が高くなりました。
一部の優秀な学生は起業や公務員就職といったポジティブな理由で中退したと考えることもできますが、多くの場合は研究室になじめずに中退してしまうと推測できます。
このように、理系研究科の退学率を押し上げている一因として”ブラック研究室”の存在があります。
ブラック研究室はどの大学にも一定数存在しており、特に毎年のように学生を中退させている”エリートブラック研究室”が退学率の平均値を下支えしているのです!
実際に大阪大学を中退した方のブログからはブラック研究室の壮絶な体験談を知ることが出来るので、大学院に進学する前に一読することをおすすめします。

優秀な学生が研究室と馬が合わなかった結果中退してしまうのはもったいない!
今いる研究室が息苦しいのであれば、一年間無駄にしてでも環境ごと変えてしまうことをオススメするよ。
まとめ
今回の記事では大学院の留年率と退学率をデータを用いて客観的に評価していました。
結果から、文系研究科では留年率が高く、理系研究科では退学率が高くなる傾向にあることが分かりました。
理系研究科の場合、ブラック研究室の存在が退学率を押し上げていると推測できます。
万が一ブラック研究室に配属してしまった場合、一年間を無駄にしてもいいので環境を一変させることが重要です!
『朱に交われば赤くなる』
といったことわざにもあるように、周囲の環境が個人に与える影響は大きいです。
自分という存在が修復不可能な段階まで壊されないよう、大学の相談室等の専門機関を頼りましょう。
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